長期放浪冒険旅行

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2007年 11月 25日

[書評]国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
佐藤 優 / / 新潮社
ISBN : 4104752010



序章 「わが家」にて
第一章 逮捕前夜
第二章 田中眞紀子と鈴木宗男の闘い
第三章 作られた疑惑
第四章 「国策操作」開始
第五章 「時代のけじめ」としての「国策捜査」
第六章 獄中から保釈、そして裁判闘争へ
あとがき


外務省に入省、ロシア専門家として外交に従事。インテリジェンスの世界で働いてきた佐藤優の処女作。2002年5月の国策捜査で背任容疑で逮捕された512日間の拘置所での闘争を舞台にしている。

これほど濃密な描写でぐいぐいと読ませる本もなかなかない。しかも、これがノンフィクションということであればなおのこと。著者の視点で自論に基づいて書いているので、ある意味ミステリ・サスペンスなのかもしれない。

正直、当時は鈴木宗男逮捕の一幕とその後のワイドショー報道が大きくて、それ以外の逮捕者の記憶がするりと抜け落ちている。だからそれが勿体無いと思うと同時に新鮮に感じられるところもあると思う。

第3章までのロシア外交の立役者としての活躍もさることながら(田中眞紀子と鈴木宗男の応戦と国防あたりも面白い)、4章以降の国策捜査が一層面白く感じる。西村検事との手は組まないが、それぞれの理想から仕事を行い、ぶつかりあいながら着地点をお互いで探しあう。敵同士で分かり合えないながらも理解を示し、ある事実と正義に立ち向かおうとしている様は地味ながらも状況が視覚化されるような感覚が起きる。

サイドリードとしては拘置所の食事が美味しい、タマ入れの有無など小ネタも満載。

どうせなら森まで出てきてぐしゃぐしゃにやって欲しかったという気持ちもある。

佐藤氏の国のための正義がこの事件を引き起こしたというくだりには納得。
「対ロシア外交等への思い入れの強さが事件を引き起こした」という評価は客観的に見て正しい。2000年までに是が非でも北方領土問題を解決し、日露平和条約を締結するという国家目標に真摯に取り組んだが故に私たちは「国家の罠」にとらわれてしまったのだ。(p.393)


佐藤氏の今後の著作もどんどん読んで行きたい。
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by endodyssey | 2007-11-25 22:18 |


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